徳島大学整形外科では
ロボット手術を導入しました。

膝関節手術支援ロボット
CORI

WHAT IS CORI?

膝関節手術支援ロボット
CORIとは?

CORIはナビゲーションシステムの技術を応用し、赤外線カメラと赤外線反射マーカーを使用して膝関節の3次元位置計測を行います。車の運転をサポートするカーナビゲーションに例えると、赤外線カメラが人工衛星の代わりとなって赤外線反射マーカーの位置を特定して情報を画面に表示します。

骨を削るための手持ち式のサージカルドリルにも赤外線反射マーカーが取り付けてあり、術前の計画で削る予定のない部分に差し掛かるとドリルの回転をストップさせたり、ドリル先をガードの中にしまったりして、誤って削らないようにロボットが制御します。

導入の背景と
手術支援ロボットの
メリット

膝の軟骨や骨が変形する変形性関節症の治療では、傷ついた骨や軟骨を取り除き、人工関節に置き換える手術が行われます。この人工関節置換術は国内で年間約9万例も実施されている手術ですが、術後の膝の動きに違和感や痛みが残って患者さんの術後満足度が低下することがありました。これまでの研究で術後満足度には人工関節の設置精度が関連することが報告されています。また従来の方法では膝の曲げ伸ばし時に重要な役割を果たす前十字靭帯を切ることが多く、術後満足度低下の一因と考えられています。

CORIの手術支援により、赤外線を使って骨や靭帯を3Dスキャンしたり、関節を支える靱帯のバランスを数値化したりできるようになります。これらの客観的データを参考に手術チームがその場で患者さん個々の骨形状や靱帯バランスに応じた人工関節の設置位置を調整して骨を正確に切除することができるようになり、インプラント設置精度が向上するだけでなく、従来の手術では難しかった前十字靭帯を温存できる可能性が高まります。

このようにCORIによる手術支援により、患者さんひとりひとりに合わせた人工関節置換術を行うことができるようになり、術後により自然な感覚で動かすことのできる膝を提供できることが期待されます。

膝関節手術支援ロボット
CORIが使用できる
疾患について

関節は、体重を支えて立つ・歩くなどの移動を行う上で大切な関節です。これらの関節に問題が生じると、動きが悪くなり、歩くときなどに痛みが出て、日常生活が大変不便になります。

手術支援ロボットを使用した人工膝関節置換術は、下記のような疾患について、内服治療やリハビリテーションで疼痛改善が得られない場合に適応となります。

  • 変形性膝関節症

    関節にかかる衝撃をやわらげ、関節の動きをなめらかにしている関節軟骨がすり減る病気です。変形が進行するとO脚やX脚となって歩き方が悪くなったり、痛みが強く歩けなくなったりするため、日常生活に支障をきたします。

  • 関節リウマチ

    関節に炎症が起こり、全身の関節が腫れて痛む病気です。膝関節では関節内の滑膜が炎症を起こして増殖し、骨や軟骨を徐々に破壊することで、痛みが出たり、関節の動きが悪くなったりするため日常生活に支障をきたします。

  • 特発性膝関節骨壊死

    外傷などが原因で、骨の一部が壊死してしまう病気。骨壊死が起き膝関節の軟骨を支えている大腿骨顆部という部分に、血流の悪化により栄養が行き届かなくなり、関節軟骨のすぐ下の骨が壊死してしまう病気です。進行すると軟骨を支える骨がつぶれて、痛みが出たり、関節の動きが悪くなったりするため日常生活に支障をきたします。

未来に向けて

徳島大学整形外科では、国立大学として初めて
膝に人工関節を埋め込む手術の際に支援をするロボットCORIを導入し、
2020年1月から運用を開始しています。
徳島大学整形外科では設置精度が高く、患者さんの膝への負担をできるだけ少なくした手術の実現で、
術後のリハビリ期間の短縮や早期退院、早期社会復帰を目指してまいります。

お問い合わせ

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