股関節
股関節分野では、内視鏡やコンピューター技術を応用することで低侵襲でありながら正確な治療が可能となっています。当科の基本方針として可能な限り自分の骨、軟骨を残して治療をする”関節温存”を目標に治療を行っており、骨切り術や内視鏡手術を積極的に行っています。一方、人工関節手術では、ナビゲーション手術といった最先端のコンピューター技術を導入し、より正確な手術が可能となっています。
骨切り手術
関節温存手術(自分の骨・関節で直す)として非常に有効な治療法です。当院では,若年者(50〜60歳以下)における寛骨臼形成不全症や大腿
骨頭壊死に対して種々の骨切り術を行い,可能な限り自分の骨で直す関節温存を目指して治療を行っております。
寛骨臼形成不全に対する寛骨臼回転骨切り術
大腿骨頭壊死症に対する
大腿骨頭回転切り術・大腿骨弯曲内反骨切り術
人工関節置換術
変形性股関節症や大腿骨頭壊死の末期の病状に対しては人工股関節置換術による股関節機能再建術が有効です。
– 最小侵襲手術:(症例により)可能な限り筋肉を切らない最小侵襲手術を導入し、より早期の術後回復をはかっています。
– ナビゲーション手術:ナビゲーションシステムを先駆けて導入し,最新コンピュータ技術によって非常に精度の高い手術が可能です。
個々の患者さんのデータを基に理想的な湯術を計画し、
手術中にナビゲーションが正確に誘導してくれる。
股関節鏡手術
当院では近年普及しつつある股関節鏡を早期より導入し,これまで原因が解らなかった(診断に至らなかった)股関節疾患に対して,正確な診断のもと低侵襲で検査および治療を行っています。
膝関節
膝関節分野では変形性関節症、関節リウマチ、骨壊死といった疾患に対し、最先端技術を用いた高度な医療を提供しています。
最も頻度の高い人工膝関節置換術ではナビゲーションシステムの技術を応用、発展させたロボット支援手術システムを国公立大学では初めて(国内6施設目)導入しました。この技術により従来の方法では出来なかった靱帯バランスの調整がより正確かつ容易となり、臨床成績の向上が期待されます。
またできるだけ元の膝に近い感覚を残せるよう、変形・関節破壊の進行具合に応じて片顆置換術や近年本邦に導入された両十字靱帯温存型人工関節も行っています。
比較的若年の患者さんや早期の患者さんには関節温存手術(骨切り手術)も行っています。
人工膝関節置換術
低侵襲手術
麻酔科医師と協力してできるだけ痛みの少ない手術を行うよう取り組んでいます。
靭帯温存手術
変形の少ない患者さんでは内側または外側だけを置換する片顆置換術と行います。
通常は1~2本切除される靱帯を温存する両十字靱帯温存型人工膝関節置換術
ロボット支援手術
最先端の技術を用いて正確な骨切除・人工関節の設置、靱帯バランスの獲得を行います。
人工膝関節片顆置換術
- 内側または外側だけが傷んでいる高齢の患者さんが対象となります
- MRIや徒手検査で靱帯・半月板・軟骨の状態を評価して適応を決めています
- 全置換術より侵襲が少なく、可動域も保たれます
両十字靭帯温存型人工膝関節置換術
- 比較的変形の少ない患者さんが対象となります
- MRIや徒手検査で靱帯の状態を評価して適応を決めています
- 高度な技術を要するため手術支援ロボットを用いて行います
ロボット支援人工膝関節置換術
人工膝関節置換術は,骨の切除や人工膝関節の設置が術者の技術に委ねられますが,手術支援ロボットによる支援があれば,手術中に赤外線カメラを使って骨の形状を3次元的に再構築し,関節を支える靱帯のバランスをリアルタイムに数値化することできます。これらの骨形状や軟部組織バランスの客観的データから,手術チームがその場で患者さん個々の膝に応じた手術計画を行い,ロボットで制御されたドリルバーを用いて、骨を計画からの誤差1mm・1°以内の高い精度で切除し、計画通りの位置にちょうどいい靱帯の緊張を残しながら人工関節を設置することができます。特に,靱帯のバランスを骨切除前に予測し微調整可能な点は、従来の手術とは異なる大きな特徴です。これまでの技術では難しかった両十字靱帯の温存する人工関節を安全にできる可能性が高まり,術後には患者さんにより自然な感覚が残ることが期待されます。
本院ではCT・レントゲン・MRIなどの検査を経て,人工膝関節置換術を受けられる患者さんの大部分が,この手術支援ロボットを使った手術の対象となっています。
01
赤外線カメラを用いて関節状面の形状を取り込む。
02
取り込んだ骨形状、靱帯バランスの情報を元に術中に手術計画を行う。
03
手術計画に従ってロボットで制御されたドリルバーで骨を削る。
04
人工関節を設置した後靱帯バランスを評価、必要に応じ微調整を行う。
骨切り手術
- 若年で変形の少ない患者さんが対象となります
- 膝にかかる体重を健常な部分に移動させ除痛を図ります
- 人工関節と比較すると可動域も温存できます